2023年9月17日日曜日

"Nimrod" (ニムロッド)


 

 

エルガーの『エニグマ変奏曲』

正式名称は

『管弦楽のための独創主題による変奏曲』

 

その中の第9変奏 "Nimrod" (ニムロッド)

単独で演奏されることも多い

 

最近では

アンナ・ラキティナ指揮+ボストン交響楽団が

かなりいいように思ったナ

 

2021年のタングルウッド・フェスティバルの際のもの

 

33歳のラキティナは

ウクライナ人の父とロシア人の母を持つモスクワ生まれで

現代の国際情勢を一身に負ったような女性

といえば

言える

ぼくはそんな

歯の浮くような

商業ジャーナリズムっぽいことは

言わないけどネ

 

https://youtu.be/LAhH4Fkahgo?si=ijUScsH1AhwQaQd_

 

 

 

"Nimrod" (ニムロッド)の演奏では

24歳のチェロ奏者

シェク・カネー=メイソンの演奏が

また

素晴らしい

 

BBCヤング・ミュージシャンのコンクール(BBC Young Musician)で

ショスタコーヴィチの「チェロ協奏曲第1番」を演奏して優勝し

王立アカデミーに学んだ

 

2018年には

ヘンリー王子とメーガン・マークルのロイヤルウエディングの際の

音楽セレモニーで演奏

 

そんなことも

どうでも

いいけどネ

 

https://youtu.be/O70uVmW4y9Q?si=a2qrCd3OHglvbBiy

 

 

さて

 

 

エルガーの『エニグマ』のこの曲ともなると

クラシック好きでも

なかなかここまでは辿り着かず

繊細かつ微妙なこの魅力に陶酔できる人は

少ない

 

ギリシア語で「謎かけ」を意味する題名の

「エニグマ」の通り

エルガーがこの変奏曲集に込めた仕掛けは複雑で

なかなか読み解けない

推理小説のような作品だが

音楽として単にくり返し聴いてみるだけで

十分に聴き手の耳が

研ぎ澄まされていく

 

そういう意味で

教育的な音楽でもある

真向かって

聴いているだけで

音楽力が付いていくのだから

ありがたい

 

旋律のベースとしては

ベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』の

2楽章の旋律が下敷きになっている

 

エルガーの友人だった

楽譜出版社ノヴェロ勤務のドイツ人

アウグスト・イェーガー

August Jaeger, 英語式にはオーガスタス・イェイガー)

エルガーが

好んだ旋律をベートーヴェンから借りたもの

 

ドイツ語の “イェーガー” Jäger)が「狩人」や「狙撃手」に通じるので

エルガーは

彼に

旧約聖書に出てくる狩人の「ニムロッド」というあだ名をつけ

そこからこの曲の題名が出てくることになる

こういう「謎かけ」が方々に張り巡らされているのが

『エニグマ』という変奏曲

 

ベートーヴェンについて論じあいながら

エルガーとイェーガーふたりで夜の散策をした時の雰囲気も

描き込もうとした

という






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