自分には肉体がないかのように、
世界が存在しないかのように、
わたしが存在した場が
どこにもないかのように装うこと。
ルネ・デカルト
まるで詩人みたいに
けっこう書いてるよね、きみ
田中くんがそう言うので
調子に乗って
そうかなぁ、詩人みたい?
なっちゃおうかな、
なろうとしてみちゃおうかな、詩人
なろうなんて
醜い自己顕示欲に陥っちゃおうかな、
そのうち
そう返してみちゃいましたが
うそです
ぼくはなにも書いたことがないひと
ひとつさえ言葉を創り出したことのないひと
ものを感じるこころもなければ
ろくに考えるちからもまったくなく
まなざしもふわふわなら声もかぼそく
からだもカゲロウの羽みたいに透明で
なにひとつ為したこともなければ
足音さえしないほどの存在感のなさ
生まれてすいませんなどという必要さえない
はじめからいなかったし
いまもとってもすごくいないし
未来永劫影もかたちも気配さえないひと
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