どうでもいいこと

 

  

美は易々とした姿をしている

ジャン・コクトー

 

 

なんであれ

「すごいですねェ」

に結実していくような行為が

重くって

ダサくって

鈍くさくって

いやでたまらない

 

軽々としていないと

なんであれ

近寄りたくない

やすやすと行なわれるのでないと

見たくもない

 

やったか

やらないか

たいしてかわらない

そんな

あるかないかの行為は

大好き

 

覚者たちは

やらないことや

足跡を残さないことを

とても大事にするが

そこはそれ

残したっていいのではないかと

気楽に考える

 

けれども

やったのに

やったかどうかわからないとか

すぐ近くを通ったのに

だれにも気づかれないといったことには

すごく面白みを感じる

 

いたのか

どうか

生きていたのか

どうか

ろくに知られもしなければ

死んでも

死なないのと

同じ

 

死んでも

死なないのと

同じなら

 

同じだから

 

いたのか

どうか

生きていたのか

どうかも

どうでもいいこと

 

どうでもいいことが

いつも

頂点

至上の時