春の花咲く無季節の
ウェルビンステルヌの原で
きみが隠したのは
ヒトロン・リキムの花びらのような
華奢な薄い骨からなる頭蓋骨
頭蓋骨といっても
えも言われぬ香しさで
手のひらにささえ持ったまま
ひとはしばし夢見ごこちになってしまう
ああ! リフトハイゼンの
あの爽やかな小山に出かけよう!
だいじな思い出はすべて
あそこにいつまでも漂っている!
ヒトロン・リキムときみが
むかし語りあっていたことを
頭蓋骨をきっと見つけて
ぼくの華奢な耳骨に響かせよう
リキムは生きているうちに
じぶんの頭蓋骨をぴょろっと
鼻の穴から滑らせて
ほんとうはぼくに委ねたのだ
春の花咲く無季節の
ウェルビンステルヌの原は
ほんとうは
ヒトロン・リキムとぼくの
大空のような公然たる約束の地
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