2023年12月29日金曜日

至極正当なまっとうな報復の夢


 

 

本当の支配慾というものが、

物静かな形をしていることを知らなかったのである。

     三島由紀夫『天人五衰』

 

 

 


 

クメール・ルージュが

1975

カンボジアで政権を取ってから

カンボジアでの大虐殺は始まった

 

昔のこととは

どうも

思えない

 

ほんのちょっと

どこかで

なにか

心理的な

概念構成的なものの均衡が

さらに

崩れれば

この21世紀

すぐにも同じことが始まると思えてならない

 

クメール・ルージュが勝利して内戦が終わり

プノンペンを解放し

ポル・ポトが全権掌握した際

クメール人至上主義のポル・ポトは

ベトナム系の人間を蔑視し
カンボジア国内で

ベトナム系を忌避するナショナリズムを高揚させた

フランスに留学したのに

ことのほか勉強ができなくて帰国したらしいポル・ポトは

知識人やブルジョワジーも嫌った

 

1976年にカンボジアの首相となったポル・ポトは

農村部に都市住民を移住させ

共同体を作ろうとしたが

もちろん

拒む都市住民が出てくる

「反人民的行為」として

ポル・ポトはこれを処刑する

 

国民一丸となって

集団で農業共同体を作っていこうという時に

農業に力を入れないような人物も

「反人民」ということで

処刑


メガネをかけている人間も

それだけのことで

処刑した

 

この論理がすさまじい

「メガネをかけている」

=「本をたくさん読んだ」

=「農業を怠けた時間が多い」

したがって

死刑

なのである

 

教師たちは

崖から突き落とされて

死刑にされた

 

なぜなら
「人にものを教えるほど知識を持っている」

=「それだけ農業を怠けた」

したがって

死刑

 

文字を書ける人間も

死刑

 

なぜなら
「文字を覚えた」

=「字を書けるようになるまで練習した」

=「農業を長時間怠けた」

したがって

死刑

 

むかしを懐かしんだり

今よりよかったと話すのも

死刑

 

なぜなら

新時代へ向けて変化していかないといけないのに

変化を嫌っている

変化を疎んじている

変化させたくないと思っている

=「反逆罪」

したがって

死刑

 

すでに

こうしたトンデモ論理の跳梁跋扈は

この21世紀

あちこちに

ごくふつうに見られる

 

ごく最近も

「ワクチン」などと偽称された

人体加害目的の毒液が大がかりに使用されたばかり

 

多くの「反逆罪」をでっち上げるために

ポル・ポトは

子どもたちを利用した

子どもをいろいろなところに潜ませて

大人たちの会話を盗み聞きさせ

報告させた

 

そうした

スパイ行為をした子どもたちも

現在

50才前後に達している

 

ポル・ポトが負けて政権を去り

親ベトナム政権ができた1979年時点で

大人の大半が処刑されて消滅したカンボジアでは

国民の85%が14歳以下だった

 

虐殺の手先となった

当時の子どもたちはいつになったら処刑されるのだろうか?

わたしは不都合な疑問を持ってしまう

 

話はちょっと飛ぶが

同じ構造のことがらとして

そう

たとえば

中国で

文化大革命の時に大はしゃぎして

文化人や知識人を虐待し

殺しまくった無知蒙昧な若者世代は

いつ

「天」によって

処刑されるのだろうか?

わたしは

至極正当な

まっとうな

報復の夢を

見続けている

 





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