クリスマスの日も
授業はあった
ひとつの授業では
受講している学生たちが地方出身者ばかりで
年末は日が遅れるほど
列車も飛行機も遠距離バスも混むので
前日に帰郷したいと言っていた
前日の
クリスマスイブの帰郷を認めたので
その授業には
だれも来なかった
するべき多量の採点や
事務的な作業があったので
だれも来ないのはわかっていたが
わたしは
ひとりだけ教室に行って
学生たちが座る席のひとつに腰を下ろして
いろいろな作業をした
200人が入る
大きめの教室である
そのなかに
ひとり居続けて
一時間ほど作業をした
大きな空間で
じぶんが立てる紙の音を除けば
ほかには音もしない
だれにも煩わされない
贅沢な静寂である
大きな教室というのも
いいものだな
と思った
大きな空間のなかに
ひとりだけ居て
ただただ静かだというのは
ほんとうに
贅沢この上ない
思いもかけない
幸福な時間で
わたしにとっては
これこそ
最高の
クリスマスプレゼントだった
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