今の住まいの周囲には
どんな種類のレストランも飲み屋もある
すこし足を伸ばせば
見つからない類の店というものは
もうほとんど
ないと言っていい
けれども
外食があまりに便利になってみると
正直なところ
どこにも入らなくなってしまう
住み始めた当座
こんなにいっぱい旨そうな店があるのなら
ひとつずつ試していこうと
それはそれで
ちょっと楽しみに思ったものだが
ひとつかふたつ
入ってみたところで
もう後は
どうでもよくなってしまった
個性的なフレンチや
イタリアンもいくつもあり
オーソドックスな店もいっぱいあるが
仮にしこたま飲んで
酔い潰れそうになっても
家までは五分もあれば帰れるという地の利を得たのに
なんだかどれも
もう
どうでもよくなってしまった
値段が高めに見えても
スーパーでちょっと高級なぶ厚い肉を買って来て
海塩と胡椒程度で好きなように味つけして
自宅で軽く食べるほうが
たいていの店よりもだんぜん安いのだし
添加物も保存料も乳化剤も
もちろん
味の素だのシリコンだのもなしで食べられるのだから
結局どこに住むことになろうが
外食などほとんどしないほうへと
どんどん傾いていくことになるのは
かわらない
このあいだ
自然素材重視の料理人のブログを見ていたら
どこのレストランの前に立っても
ちょっとした匂いで
そこの店の添加物の使用度合や
使っている油のレベルなどがわかる
つまりは
その店のごまかしぐあいや
食に対する意識の高低がわかる
と書いてあった
この人ほどでなくても
こういうのは
雰囲気でたしかにけっこうわかるものがある
体によくなさそうなものをいっぱい使っている店というのは
匂いばかりでなく
物の置きぐあいなどや
装飾のぐあいなどからも
たしかに店の前に立つだけでピンとくるので
体を重くしないために
入店を避けるようになる
食べてしまうより
食べないでおいたほうが
体によい場合というのもけっこうあって
こういうのが
ちゃんとわかってくるには
やっぱりそれなりの年齢と経験と
たくさんの
たくさんの失敗を
重ねて来なければならなかったなと
馬齢を重ねてきた者なりに
しみじみと思ったりする
結論として
だから
外食はしませんよというのではなく
こんなにひねくれて
難しくなってしまった客を
それでも
魔法のように引き込んでしまうようなレストランや飲み屋に
益々以て
いよいよ出会っていきたいという
これは
奇妙なラブコールみたいなものかナ
飲食店というものへの
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