2023年6月1日木曜日

どんな荷物も携えず軽やかに


  

    Ⅰ

 

たとえば、映画

 

見るのは好きだし

たくさん見る

 

よく練られて作られているなあ

とか

すばらしい撮り方だなあ

とか

冴えた編集だなあ

とか

感心したりもする

 

でも

同時に

たいして価値はないな

とも

いつも

思っている

 

観客は

一時間半やそこら

編集され繋がれた映像を見て

つかのま楽しんで

 

 

 

 

それだけ

 

「いやあ、よかったね」

「きれいだったね」

「ストーリーも波瀾万丈で」

「女優さん、魅力的だったなあ」

 

それだけ

 

それ以上に持ち上げ続けるのは

業界関係者

だけ

 

これが

文化

なんですか?

 

 

 

     Ⅱ

 

「あなたがたは

森林や草原を切り拓き

美術館と呼ばれるものを作って

そこに

美術と呼ばれるものを陳列し

ひとつの美術から

次の美術へ

落ちつきなく歩きまわる。

 

しかし

美とはなんでしょうか?

 

美術館に陳列される美は

失われた森林や

草原にあった美以上のものでしょうか?

 

美とはなんでしょうか?

 

そこにある

ただ一本の樹を

じっと黙って

何分も

何十分も見つめる人は

ほとんどいない。

 

たった一本の樹さえも

しばらく黙って

見つめられないあなたがたにとって

美とはなんでしょうか?

 

そういうあなたがたが主張する美とは

なんでしょうか?」

 

ジッドゥ・クリシュナムルティ

 

 

 

     Ⅲ

 

「わたしたちは

どんな荷物も携えず

軽やかに

なんの努力もせず

いかなる神殿や記念碑にも

また

社会的な

あるいは宗教的な

英雄にも

気を取られたりすることなしに

ただひとり

美と愛を携えて

旅していかなければ

ならない」

 

とも

ジッドゥ・クリシュナムルティ

 

 




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