2017年12月20日水曜日

よいだろう、もう…



だれにも読まれないものは
記さないで
よいだろう、もう…

次第に賢明になっていく心持ちなので
きっと
透明になっていくところ

なにもかも
物質であるはずの骨さえも

暮れ方には
よいだろう、もう…
誰にも
二度と会わないでも…
静かに思いの水嵩が増し
また
引いていく
生きたことのなかった
たくさんの水際
入り江

あんなに遠くまで
つかの間のものであっても
足跡を
付けていこうと
思い続けてきたのに
よいだろう、もう…
すっかり透けて
佇んでいる
もう
誰だったかも
わからなくなっている
眼差しの
放たれるたゞの
一点



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