だれにも読まれないものは
記さないで
よいだろう、もう…
と
次第に賢明になっていく心持ちなので
きっと
透明になっていくところ
なにもかも
物質であるはずの骨さえも
暮れ方には
よいだろう、もう…
誰にも
二度と会わないでも…
と
静かに思いの水嵩が増し
また
引いていく
生きたことのなかった
たくさんの水際
入り江
あんなに遠くまで
つかの間のものであっても
足跡を
付けていこうと
思い続けてきたのに
よいだろう、もう…
と
すっかり透けて
佇んでいる
もう
誰だったかも
わからなくなっている
眼差しの
放たれるたゞの
一点
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