[2000年9月作]
いま目の前にあるものが どんなに貴いか
覚えておおき、子どもよ
あたりまえのように目の前にあって
たぶん わずらわしくさえ感じる
あれ これ
あのひと このひと
ふいに魔法のように消えるときが来て
そうして きみは気づく
あれ これ
あのひと このひと
それらこそ
きみのいのちだった と
どこを ほんとうは
ひとは生きていくものだろう
あたまやこころのなかだけがきみだなんて
とんでもない
見えているもの 聞こえるもの 触れるもの
すべて きみだった と
いつか 気づく
あれ これ
あのひと このひと
それらのなかをも きみは生きていた
生きていた! と
いつか 気づく
風の過ぎ去りのように
ふいにすべてが消え去ったあと
きっと ひとり取りかかる決意を
きみはするだろう
いのちという魔法を ほんとうに解こう と
あれ これ
あのひと このひと
それらを生み
それらを消すもの
だれの助けも もう ないね
そうと知りながら
たどりはじめる
いのちの微妙な径
ながく使わないできた秘密の目と
耳と
鼻と 指と
あぶなげに使いはじめながら
ものとものとのあいだを たどりはじめる
そうして 子どもよ
きみはそのとき
はじめてのようにじぶんが
もっともっと子どもだ と気づく
つぶやいてもみるかしれない
生誕、
と
小声で
覚えておおき、子どもよ
あたりまえのように目の前にあって
たぶん わずらわしくさえ感じる
あれ これ
あのひと このひと
ふいに魔法のように消えるときが来て
そうして きみは気づく
あれ これ
あのひと このひと
それらこそ
きみのいのちだった と
どこを ほんとうは
ひとは生きていくものだろう
あたまやこころのなかだけがきみだなんて
とんでもない
見えているもの 聞こえるもの 触れるもの
すべて きみだった と
いつか 気づく
あれ これ
あのひと このひと
それらのなかをも きみは生きていた
生きていた! と
いつか 気づく
風の過ぎ去りのように
ふいにすべてが消え去ったあと
きっと ひとり取りかかる決意を
きみはするだろう
いのちという魔法を ほんとうに解こう と
あれ これ
あのひと このひと
それらを生み
それらを消すもの
だれの助けも もう ないね
そうと知りながら
たどりはじめる
いのちの微妙な径
ながく使わないできた秘密の目と
耳と
鼻と 指と
あぶなげに使いはじめながら
ものとものとのあいだを たどりはじめる
そうして 子どもよ
きみはそのとき
はじめてのようにじぶんが
もっともっと子どもだ と気づく
つぶやいてもみるかしれない
生誕、
と
小声で
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