成人式に着物も届かず
着付けもできず
記念撮影もできなかったという事件が
今年はあったが
報道を見ながら
いずれにしても
新成人たちにも
あらゆる世代の旧成人たち皆にも
未来はないのだから…
と
思い続けていた
なんとも人の悪い
いじわる至極な思いかたを…と
もちろん
言われるだろう
なんでもすぐ忘れるのが人の道で
大人の証でもあるとされる
この多島海では
しかし
2017年2月2日の
東京電力による福島第一原発2号機格納容器内部の
撮影映像分析発 表
撮影映像分析発
あれを思い出し直しておこう
1メートル四方の大穴と
もうひとつは大きさ不明の大穴
それらが開いていて
溶融した核燃料が落下し足場が陥没してできた穴らしい
ロボットを投入して調べようにも
走行ルート上を調査するものばかりで
穴の中は探りようがない
しかも内部の放射線量は最大毎時530シーベルトだったこともあ る
と推定され
これは人なら1分弱で死亡するレベルだという
核燃料がどこまで落ちたかわからず
それを取り出すすべもわからず
つまり
早急な廃炉など
夢の
また
夢
なので
仮に奇跡的な発明や幸運が重なって
廃炉が進むにしても
100年後
千年規模で考えるべきだという話もある…
もう
ハレの日など
たくみに理性の目を瞑らなければ
永遠にありえなくなってしまっているはずの
この多島海で
成人式の着物が届かないウンヌン
着つけができないウンヌン
記念撮影ができないウンヌン
それらだけのテーマで
喜怒哀楽が完結できてしまえる想像力の持ち主たちで
やはり
すっかり社会ができあがっていることに
もはや
うすら笑いをでも浮かべて
遠い時代の遠い国の異習ででもあるかのように
見ている他はないのだった
たった一年前の
この列島への死刑宣告のことを
もう誰も覚えていないのだ
成人式ウンヌンしているどころではない
新成人諸君は少しでもはやくこの列島を脱出せよ
とは誰も勧めさえしない…
いつのことになるか
意想外に遅くなるかもしれなくても
やがては必ず
着物がではなく
着付けさんがではなく
カメラマンたちがではなく
着る本人たちこそが
永遠に成人式の会場に現われることができなくなる
そんな日の到来を予告する
はじめての顕著な兆候として
2018年の成人式の事件はあった
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