2018年2月14日水曜日

あの後ろ姿は一生忘れないだろうなと思いました

 

夢の中で
どこかの学校にいたんです
教室でしたね

大学かもしれない
高校かもしれない

もう夜になっているんです
布団を頭までかけて
パソコンを見ていました

すーっとドアが開いて
静まりかえった廊下から
女が入ってきました

なんだろうと思い
耳を澄ます間もなく
目の前に
女の顔が来ているのです

あなた、お化け?
と聞きますと
そうです
と答え
にこりともしません

無愛想なお化けだな
と思いましたが
お化けが愛想笑いしたりするのも
それはそれで
どうかと

しばらく
教室の中にお化けはいて
そのうち
いなくなってしまっていました

もともと
音も立てずに入って来て
音も立てずに移動していましたが
音も立てずに
いなくなっていました

黒板の前に
黒板のほうを向いて
ちょっとの間
立っていた姿を覚えています

なにしてるんだろう
と思い
訊いてみようかと思いましたが
黙って
彼女の後ろ姿を見ていました

お化けの後ろ姿って
なかなか
艶っぽいところがありますよ

音も立てずにいなくなってしまった後も
彼女の後ろ姿を
しばらく思い出していました

パソコンに目を落とすと
ひかりの青さが
お化けのようにさびしかったです

彼女の後ろ姿は
こんなにさびしくなかったな
と思いました

あの後ろ姿は
一生忘れないだろうな
と思いました



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