涼しさや愛されるのも一仕事
丸谷才一の句
最後の句集『八十八句』にある
ワンクッションも
ツークッションも仕掛けたフィクションの韜晦なしに
みだりに
自分のことなど詠む
丸谷ではない
「掛川、吉行淳之介文学館にて」と
詞書にあるのを見れば
むしろ
吉行に仮託しての句
と見たほうがいい
句集の題名からして
高浜虚子の一連の
ぶっきらぼうな句集タイトルへのリスペクトだと
すぐにわかる
すぐにわからない向きは
まぁ
最初から相手にされていない
それが文芸
パイプカットして
女性たちを抱くのに専心した吉行さんにして
70歳で亡くなったか
と
ヘンな思いに浸る
(もちろん
(力点はパイプカット云々にはない
人の寿命
宿命
そんなことの
あれこれ
それを思う時間に
しばらく
浸る
と
そんなとこ
入籍を迫られると
吉行さんは逃げたくなったそうだ
死ぬより怖い…
他人からみるとなんでもないようでも
そんなものが
誰にも
ひとつふたつ
あるのかもしれない
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