昔話や伝説やお伽話に
ますます
引き込まれていく
面白いと思うからではなく
現実とよばれるこの世界より
ますます
はるかに本当に感じられるようになったからで
しかも
真実という言葉を使うべきなにかは
そちらのほうにこそあると確信するようになったからで
つくり話だなどと思い込んで
もう
いい加減に済まし続けていることはできないし
手で触れられるほどの感触のある
さまざまな物の束が
目を瞑るとだんだん見えてくるような空間の中に
張りめぐらされているのを感じる
表象としてとか
比喩としてとか
そういうのでない実体として
昔話や伝説やお伽話が
ますます
恐ろしいリアリティーで肌に纏わりついてくる
角膜にもべったりと付いてきて
目を拭っても拭っても
すっかりぬぐい取ることなどできない
もう
できない
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