三界の狂人は狂せることを知らず
四生の盲者は盲なることを識らず
生まれ生まれ生まれ生まれて生のはじめに暗く
死に死に死に死んで死の終わりに冥し
空海『秘蔵空論』
眠くて眠くてしょうがない
時間もあったものだから
こんこんと
また寝ていた
こんこんと
20時間ほど寝ていた
夕方頃のことである
寝室の空中で
急に
電子音が鳴り響いた
目覚まし時計のアラームでも
鳴ったかのような
それで目覚めたのだが
アラームなど
かけてはいなかったし
なにより
空中になど目覚ましはない
いろいろなところに住んだが
こういうことって
ときどきあったなァと
目をつぶったまゝ
思い出す
どこも懐かしい
いろいろな人たちと
いろいろなことがあった
過去のあれこれの住まい
それらの
さまざまだった寝室
思い出しているうちに
また眠くなってきてしまう
あまりのたくさんの
過去のあれらの寝室の
思い出に今日は押し寄せられて
心の芯の芯まで疲れきって
こんこんと
また寝てしまう
こんこんと
身も心も忘れ果て
いったいどこまで落ちていってしまうのか
また寝てしまう
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