…しかしそれでも言葉に、言葉というものに、
愛恋する、執する、というのなら…
あゝ、折口さん、…
「わたしは旅行に出なければなりませぬ
「まづ花巻へ行つて
「それから遠野の方へ移つて
「だんだん淋しい
「歴史のない
「口碑や
「迷信や
「破格の言語の多い處を
「探り入つて行かうと
「思ひます*
迷信の中から中へ
また中へ
探り入って行って
ついには出て来れなくなる
ふかい陶酔の
非現代の
方角の
方途の麗しき消滅の
果ての
果ての
果ての
折口さん、
あゝ、折口さん、…
*折口信夫
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