2015年6月28日日曜日

つかの間ぼくだけのために開きながら



多く行分けしたり
各行を短めにしたり
やゝ硬い言葉づかいをわざとしたり
かと思うとべらべらの口語に戻ったり
抽象的な話に突入したり
身近な物事の細部に拘泥したり
ふいに壮大な自然描写に転換したり
…と
そんな書き方のものを「詩」ということが多いそうだが

ぼくはそれに似たかたちを借りて
実生活とも社会とも違ったところを流れる
幾筋ものぼくだけに見える心の底の流れに立ち戻るためだけに
やはりこれも借り物の日本語を使って
たったひとりの時間を拾いながら
盗みながら
引き裂きながら
書きつけをしてみている

他のたくさんの詩人さんたちに「詩」とかいうものを
すっかり任せて
誰も辿ったことがないまったく別の径を
つかの間
ぼくだけのために開きながら




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