薔薇を
あの人にもあげておけばよかったと思う
そしてBには
もう少し大ぶりの立派な薔薇を
たいへん喜んでくれたが
選ぶのに
もう少し時間をかけてもよかった
暮れ方のさびしくなった街を
そんな心づかいで
ほのかに明るませるために
Bのところへ行く途中
黒々とした水面になった河が
音も立てずに
流れ続けているのを見た
(ぼくは生きているのか?
(これが生きているということか?
そんな
ちょっと大げさな問いを
声にはせずに
ぼくはぼくに向け
周囲を見回して
あの大きな都会の明るいあたりのいくつかに
視線を投げてみた
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