わたくしの指先には
太古からの人心が
また
霧のような水のような
もう区切れ目もわからない
漠然とした
あるいは曖昧な
思いの底なしの海が
しかし見えることなく
絡まりつづけ
時どきそこから
ほつれた糸の何本かのように
わたくしを編み上げた
流れとしか呼びようのないものも
飛び出ていて
どのようなかたちでもいいが
指先をことばと
接触させる時にだけ
これらの様子はありありと見え
絡まりの直しや
ほつれの戻しも
そうしながらでないと
できそうにはない
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