ぼくの宿命が
ぼくによって読まれたがっている
だから
ぼくは読もうとしているだけだ
なにひとつ
自分からは踏み出さず
計画も企画もせず
まったき消極性そのものになりきって
宿命はじっとしていることができない
どんなに不変不動を装おうとも
ぼくほどの無為の前には
しびれを切らした足指を震わせたり
首の筋の一本の位置をずらしたりしてしまう
ぼくはぼくの宿命ではない
ぼくという波のすぐ内側まで満ちている海の水のすべて
それが宿命で
それに押され続けながら
ぼくという表面は海の水のすべてを知り尽くそうとしている
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