2018年1月14日日曜日

蜘蛛に生まれ網をかけねばならぬかな

 
木下夕爾の

炎天や昆虫としてただあゆむ

を読むと
これは虫が猛暑の中を歩いているのを見ての句だとわかるが
それでも
作者自身がその虫になり切りつつある
という感じもあるので
ドゥルーズがいうところの生成変化の過程を扱った句とも見えてく

これ以上に
もっとはっきりと生成変化を詠もうとする句はあるかな
と思いながら
あれこれ
十日ほど俳句や和歌ばかり見ていたら
やっぱり高浜虚子が

蜘蛛に生まれ網をかけねばならぬかな

と詠んでいて
さすがに
明治時代から俳句のポストモダンを実行した傑物だけのことはある
花鳥風月だの
月並だの言いながら
ほぼ全季語を使って作句して
近代俳句の全容を変容させてしまった怪物を
もしドゥルーズが読めていたら
20世紀のヨーロッパ思想は根底からぶっ飛んだだろうなと
今年は年初から妄想していて
楽し



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