最寄駅のむこう側に名画座の映画館があるので
映画好きなので会員になり
年間何度でも出入りできるようになって
元を取ったどころか
もう数万円の得になっているが
午前中や昼の回に行けば空いているかと思いきや
逆に混んでいるのは
いわゆる高年齢層の人たちでいっぱいになるから
平日の日中はやくから混むのは
退職した人たちがごそっと集まるから
この現象にいいも悪いもないが
退職後の人たちが午前から映画館に集まって
高年齢層のにおいや雰囲気で
館内が充満しているというのは
どこか旨さの足りない低価格のケーキみたいだ
日中は毎日来ている人たちもいるようで
大きな買い物バックに完備した食べ物や飲み物ばかりか
飛行機用のエア枕まで持っていたりすると
さすがに歳が行っているだけあって
なかなかのツワモノだと思う
もう仕事にも出ない高年齢層で
パチンコだのゲートボールだのに行かない人たちは
こういう場所に集まってきたりもするわけか
黙って闇の中でスクリーンに向かう施設だから
たがいに交換しあったりするわけでもない
たぶん同じ映画を何度も見直して
毎日のように日中の数時間をここで過ごし
その後は喫茶店で本でも読み
それからスーパーにでも寄って
うちで夕食を作って終わる日々だろうか
そういう人生の暮れがたや暮れかたに
いいも悪いもないが
映画を見た後にトリュフォーやバザンたちが
激しい映画論を交わしたような雰囲気や性格や時代は
ここにはどうやらあり得ようもない
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