回廊でよく姿を見る少年に聞いてみようと思うが

中庭に荒地も廃墟もある大きな家を委ねられて

いつもはそのあたりを歩きはしないが

ときどき迷い込む人の道案内をしてやることはある

ヒナゲシの花でもいちめんに蒔いたら綺麗だろうとは思うが

他の花でもいいのではないかと躊躇するのでまだ実行していない

手頃な大きさの舟を買って広大な中には浮かべてみたい

水の上をではなくもちろん宙を

すべてを所有し終えたことがあるかと

回廊でよく姿を見る少年に聞いてみようと思うが

あの少年はどうして我が家の回廊にいつも居るのだろう

もちろん居てくれるのは喜ばしいことで

塔に上る階段の四階あたりの宙によく浮かんでいる白いドレスの娘と

今度いっしょにお茶にでも呼ぼうかと思っている