2018年7月14日土曜日

人間であるということが

 

眠いのでどこまでも行く列車になる

足たちが湯から上った頃
おや、だれの幼年時代だろう、あんなに大きく手を振って
ぼくを呼んでいる

いっぱいのひまわりを抱えて入水した女の人の伝説が
ずいぶんながいこと忘れられていたので
これからもっともっとひどい水害がやってくる

これまでのように生きるのをだれもが諦めるまで
土地や山野や河川の神々はやめない
だれがこの世の主役かわからせるまでやめない

生き残った人間たちはたゞたゞ眠くなって
水や泥が胸元にまで来てももう起きることはない
だれが悪かったというのでもなく
人間が悪かったのさ
人間であるということが



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