2020年4月22日水曜日

立っていなさい



欠如と喪失が
いつも
引き絞るような魅力を生む
海の
はずれ
生み落されそこなった
なにかの精だったのはたしかなようでも
誰もそれを思い出してくれない
腕と脚の細長い子が
空の遠さに新鮮なよろこびを覚えて
時の経過していくことに
秒針のように
生き生きした鼓動を立てている
まぶしい太陽が
やがては
もっと近づいてもくるだろうに
いまは
まだ
遠すぎてしまっていて
子の瞳ほどの大きさ
こんな瞬間をひとりだけで経験できる
幸運を
たしかには噛みしめもせずに
すこぶる暢気に
まったく足元を濡らしさえせず
立っている
立っていなさい



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