おゝ、魔女たちよ、おゝ、貧苦に逆境に悲惨よ、おゝ、憎しみよ、
おまえたちにだ、ぼくの宝が託されるのは!
アルチュール・ランボー『地獄の季節』
ふだんのウォーキングは
皇居の周辺を
ぽつぽつ
はつはつ
わつわつ
でも
土日など
日比谷や銀座あたりまで
足を伸ばす
よう
に
なった
たまに
ウォーキングの
人と
すれ違う程度の
だぁれも
いない
いない
いない
都心の
うつくしくさびしい壮麗な
風景
そんな風景のなかの
ひとり
ふたり
あゝ こんな都心をどれほど経験したかったことか!
だぁれもいない
幅広の車道に寝転がっても
しばらくは車も来ない
光キラキラの輝く無人世界のはざま
こんなSF世界の東京都心
どうか
永遠にこれが続いてくれるように!
ぼく以外のだれもが逼塞して二度と地上に出てこないように!
金輪際だれひとりとも言葉を交わさないで済むように!
などと
顰蹙を買うような思いを
つぶやきは
しないものの
額からちょっと浮き出たあたりに靄のように保ちつつ
喜ぶ
ぼくを苦々しくばかりさせ
落胆させ
苦しめてきた価値観や美意識の持ち主たちが
ようやく
苦境に立たされる時期が
ようやく
ようやく
到来してくれたことを!
(などと
(顰蹙を買うような思いを
(つぶやきは
(しないものの
(額からちょっと浮き出たあたりに靄のように保ちつつ
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