また素晴らしい嵐が過ぎていった
雲は立ち上がり
崩れ
千切れて
また千切れて
その奥からかぎりなく押し出されてくる
あらたな塊
尽きぬ曲線の数々による
なんとみごとな造形
白からグレーにわたる中での
数えきれない諧調
温度は急降下するかと思えば
ときに降下は止み
やがて
また急降下
さっきは暖かく感じられたほどなのに
もう十一月の霙を待つ夕刻のよう
おお、幸福はここにある!
巨大な水槽に垂らした豊かな絵の具が
一瞬に生を得て
うねりながら
くねりながら
水の中に広がっていくような
恩寵のひととき
おお、幸福はここにある!
人界には誰ひとり
この壮大な見世物をともに賞美できる者が
いないとしても
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