Longtemps, je me suis couché de bonne heure. ・・・
Marcel Proust
Du côté de chez Swann (1913),
premier tome du roman À la recherche du temps perdu
はやく寝に就く時期が長かった・・・
とはじまる
『失われた時を求めて』の作者は
はやく寝に就くほうがからだにいいよと
やはり勧められたのだったか
どうか
はやく寝に就くと
さほど疲れてもいない時など
まだ夜明けも遠い時間に
なんどか
目が覚めることもある
闇のなかの
そうした目覚めが苦手で
言い表しようもないほどの不安と
恐れと絶望のようなものに
わたしは襲われる
いつのまにか
どちらかというと宵っ張りになって
夜の暗いうちは
いつまでも起きていたいのは
ほんとうは
夜が好きだからでなどなく
夜明けの訪れる前に目が覚めてしまうのを
できるだけ避けたいからかもしれない
夜明け前の
暗い
静かな時間は
ほんとうの死の時間
死んだら
どうなるの?
と訊ねてくる子には
この時間を
体験させてあげればよい
暗さと
うす暗さと
孤絶と
寒さとが
横たわっているからだを包み込んで
だれとの交流も
ものとの交感も
すっかり失せてしまって
もう
ふたたび
なにかが始まることのない
思い出さえも
もう
起動しない
意識が
ただ
じぶんだけを意識しているだけの
時間
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