気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
生まれおちた家は
都心から離れた
郊外の貧しい住宅だった
若かった父母は
親から離れて
わずかな収入で借りた家に
かろうじて
子をもうけることが
できた程度
庭の生垣の木は
なにであったか
乳幼児には
覚えがないが
生垣の下には苺があって
春になると実をつけた
アヤメも生えていた
生まれてすぐの
草々とのつきあいとしては
わるくない
はじまりだっただろう
ほかの庭草は雑草だっただろうが
それらのどれをも
眺めたり触れたりして楽しかった
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