2024年12月17日火曜日

チガヤの白穂の群生のように


 

 

        ヒデルノトキハナミダヲナガシ

        サムサノナツハオロロアルキ

        ミンナニデクノボートヨバレ

              宮澤賢治 「雨ニモマケズ」

 

 



 

どのような小径を

くねくねと

たどって

このことば

あのことばは

ぼくの指さきから

外へ

出て行きたがって

いるのか

 

そこを

しずかに

あせらずに

聴き取りつづけないと

けっきょくは

生まれそこねた

ことばのべた塗りに

なってしまう

 

あたかも

いいことのように

ことばのべた塗りが

称揚されかねない時代には

訥弁の

でくのぼうのようで

ありつづける

ことも

チガヤの白穂の群生のように

豊かなこと





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