フランス社会は
ユダヤ人への迫害や差別行為に厳しい
しかし
なにがあっても
ユダヤ人だけは信じるな
と教えてくれたのは
フランス人たちだった
迫害も差別もしない
しかし
絶対に
信頼はしない
東洋語学校の図書館で司書をしていた
エレーヌは
借りた図書を返さないのが
ユダヤ人学生たちだけだと気づいた
返してきても
ページを切り取っていたり
破損していたりした
エレーヌの姉の
パリ在住のアンリエットや
その夫のピエールは
ユダヤ人の店では
騙されないように気をつけろ
とたびたび注意してくれた
卵を買えば
そのうち一個や二個は
絶対に
腐ったものを混ぜて売りつけてくる
それがユダヤ人だと
親しくなったフランス人たちは
おおっぴらには言わないが
だれもが似たような注意をしてくれた
迫害も差別もしない
しかし
絶対に
信頼はしない
絶対に
信頼はするな
と
人間本質洞察音痴の
日本人には
ここのところが
まったく
わからない
わかる気もないし
わからねばならないことさえ
わからない
捏造だと知らずに
アンネ・フランクの日記を
有り難がる
愚鈍さが
人間的だなどと
思い込む愚者の列島である
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