2024年12月7日土曜日

宇宙の極小の田舎星でのつかのまの人知れぬ時間つぶし

 

 

 

「プロティノスは肉体を持っていることを恥じていた」。

テュロスのポルピュリオスは、このように師の生涯の物語をはじめている。

ピエール・アド『プロティノス、あるいはまなざしの単純さ』

 

« Plotin avait honte d’avoir un corps. »

C’est ainsi que Porohyre commence

le récit de la vie de son maître.

Pierre Hadot « Plotin ou la simplicité du regard »

 

 

 

 

紙幣による金銭のやりとりは

即物的にみれば

細かな印刷のほどこされた長方形の紙の

やりとりに過ぎない

1万円でも原価は22円に過ぎないというが

そんな22円の子ども銀行券のおもちゃを

1万円ででもあるかのように

受けとったり与えたりしているのが

人間社会に過ぎない

 

同じように

即物的にみれば

日々の生活の活動的側面は

時間とのたわむれと

物の手ごたえや抵抗とのダンスに過ぎない

それ以上のことではなく

それ以下のことでもない

時間と呼ばれる可塑的かつ有限きわまるものも

物と呼ばれる堅牢かつ脆弱なものも

思い直してみれば

地球上であればこその楽しい経験対象で

他の環境であれば

なかなか得がたいアトラクションには違いない

 

24時間と決めた一日のくぎりの中に

心身の疲労ぐあいや快楽ぐあいを塩梅しながら

どれだけの経験や行為を詰め込んでいけるか

物たちとすこしでも多く接しながら

それでいて

物ならざるもの

形式も質も量も持たない

非物質とも

どれだけ接していけるか

そんな遊びを

この地上の生と呼んでみているようだが

こういう条件でできている遊園地

と気づいておけば

これはこれで

宇宙の極小の田舎星での

つかのまの人知れぬ時間つぶしとして

そう愚弄すべきものでもない

 





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