「プロティノスは肉体を持っていることを恥じていた」。
テュロスのポルピュリオスは、
ピエール・アド『プロティノス、あるいはまなざしの単純さ』
« Plotin avait honte d’avoir un corps. »
C’est ainsi que Porohyre commence
le récit de la vie de son maître.
Pierre Hadot « Plotin ou la simplicité du regard »
紙幣による金銭のやりとりは
即物的にみれば
細かな印刷のほどこされた長方形の紙の
やりとりに過ぎない
1万円でも原価は22円に過ぎないというが
そんな22円の子ども銀行券のおもちゃを
1万円ででもあるかのように
受けとったり与えたりしているのが
人間社会に過ぎない
同じように
即物的にみれば
日々の生活の活動的側面は
時間とのたわむれと
物の手ごたえや抵抗とのダンスに過ぎない
それ以上のことではなく
それ以下のことでもない
時間と呼ばれる可塑的かつ有限きわまるものも
物と呼ばれる堅牢かつ脆弱なものも
思い直してみれば
地球上であればこその楽しい経験対象で
他の環境であれば
なかなか得がたいアトラクションには違いない
24時間と決めた一日のくぎりの中に
心身の疲労ぐあいや快楽ぐあいを塩梅しながら
どれだけの経験や行為を詰め込んでいけるか
物たちとすこしでも多く接しながら
それでいて
物ならざるもの
形式も質も量も持たない
非物質とも
どれだけ接していけるか
そんな遊びを
この地上の生と呼んでみているようだが
こういう条件でできている遊園地
と気づいておけば
これはこれで
宇宙の極小の田舎星での
つかのまの人知れぬ時間つぶしとして
そう愚弄すべきものでもない
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