2024年12月11日水曜日

ただ黙って見続けていく

 

 

文化的、科学的、経済的、および社会的な発展を悩ませるだけのさまざまな兆候があるわけだが、それらすべての発展が、すでに持続不可能になった自然環境にさらなる負荷をかけるであろうという不愉快な現実を無視する傾向が私たちにはある。私たちの子孫が生き残るためのより良い機会を確保するために、発展をどれくらい縮小することができるのかということについて議論をしようとする意志を欠いているとしか言いようがない。

 ドミートリー・オルロフ 『崩壊5段階説』 *

 

 

 

 

 

人間の醜さや汚辱

異常さや狂気

残酷さや無関心さや

むなしさや哀しさのあらゆる様相を

観察し

監視し

そのための方便として

あたかも

文芸や芸術や花々などにもいっぱいの興味を持っているかのように

装ってきた身としては

ドナルド・トランプが次期大統領になるのが決まった頃から

全世界で激変が加速してきているのを見続けることに

大忙しになった

 

欧米とユダヤから悪の代名詞のように貶められ続ける

かつてのリビアのカダフィや

イラクのフセインのように

非常に冷静にディープ・ステートを観察して

国際政治について賢明な思索を行っていたシリアのアサド大統領が

斬首や惨殺を得意とするISISやアルカイダのリニューアル勢によって

ロシアやイランの助力を得られずに

いともやすやすと追われたことは想定の範囲としても

日韓関係の修復にそれなりに力を注いでいた

ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と側近たちの自爆については

今後のアジア情勢を一変させ得るかなり危険な現象として

かなりの注視対象となる

 

最高権力の座にあるものが

こともあろうに戒厳令を発令して

民主主義のふつうの前提条件を停止させようとした事態は

浅薄な“なんちゃって”リベラル連中の言いたがるように

もちろん表面的には

言語道断の反民主主義的行為と見える

しかし

検事総長を務めてパク・クネ第18代大統領を追い込んだ

法も正義も民主主義も誰よりも知悉しているユン・ソンニョル大統領が

あえてこうした行動に出た理由が

“なんちゃって”リベラル連中が理解できる程度の

浅薄なご乱心ドラマであるはずがなく

大統領にしても

逮捕されて自殺未遂した金龍顕前国防相にしても

内乱容疑で拘束された警察トップの趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長官や

ソウル警察庁トップの金峰植(キム・ボンシク)長官にしても

日本の時代劇によくある「おぬしもワルよのう」などと言い合う

私腹肥やす型の大タヌキ連中であるはずはないわけで

だとすれば

戒厳令などという伝家の宝刀をやすやすと抜いたのは

止むに止まれぬ緊急の事態があったためとしか考えられないわけで

表面のごく浅いところで見てとれることに留まるわけのない

極めて大きなことが発生しているとしか思えず

おそらく数ヶ月後や一年後には

巨大な亀裂や瓦解となってアジアを襲う事態へと発展していくだろ

 

人間の醜さや汚辱

異常さや狂気

残酷さや無関心さや

むなしさや哀しさのあらゆる様相を

観察し

監視し

そのための方便として

あたかも

文芸や芸術や花々などにもいっぱいの興味を持っているかのように

装ってきた身としては

民主主義とか

自由とか

よき連帯とかいう夢が

覚めていく過程でしかなかった

フランス革命からこちらの235年間ほどを

ちょっと長めのアトラクションとしか見てきてはいないので

これから始まる

恒例の派手な大殺戮にくわえて

ろくでもない殺傷液体を注入させ続けるお医者さんごっこや

水道に毒素を混入させて住民の健康を大がかりに静かに破壊する遊びや

国内の食糧自給力を極端に低下させて

ちょっとの国際動揺で一気に輸入停止に持ち込んで大飢餓を発生さ

厖大な人口をひといきに消滅させる試みなども

観察し

監視し

そのための方便として

あたかも

文芸や芸術や花々などにもいっぱいの興味を持っているかのように

装っていくつもりではある

 

シリアでは

必死になって閉じ込めていたISISやアルカイダが

弾圧を受けていた善良なる市民たちでもあるかのように

全世界支配をもくろむユダヤに操作された欧米メディアによって

フェイクニュースがすでに大量に作られて拡散され始めている

現実に始まっているのは

リニューアルISISやリニューアルアルカイダによる市民の虐殺

彼らはSNSに殺戮成果をあげるのが大好きなものだから

SNS側で残虐投稿として規制を十分にかけていない現段階ならば

うまく探せばかなりの新鮮な処刑場面が見られる

もちろんキリスト教徒など即座に銃殺すべき対象なので

キリスト教徒たちの脳髄が砕け散るのも見られる

アサドの従兄はクレーンに釣られて首吊り刑にされたが

北野武の『アウトレイジ』にもあったこの殺し方は

アラブ社会ではけっこう気に入られている

CIAによって作り上げられたこれらテロリストの活動を

民主主義の勝利だ!

民衆の力の勝利だ!

などと

“なんちゃって”リベラル連中が

能天気に歌い上げていくさまを見るのも

数千年の昔からの慣れ親しんだ光景で

いまさら物珍しくもないのだが

まあ

人類などこんなもの

歴史などこんなもの

 

われわれ

観察し

監視するために地球に一時的に潜入した者たちには

人類どもの大はしゃぎのお座興タイムに

介入したり

踊りに加わったりする権利もないので

ただ

黙って見続けていく

 

目の前でこれから起こっていく

惨事にも

災害にも

助けの手を差し伸べることも禁じられているので

ただ

黙って見続けていく

 

太宰治が『碧眼托鉢』で言っていたように

 

生きて行く力
   いやになってしまった活動写真を、おしまいまで、見ている勇気。

 

というような感慨だけは

それでも

どうしても持ってしまいがちには

なるが

 

 

 

 

*ドミートリー・オルロフ 『崩壊5段階説』(大谷正幸訳、新評論、2015, pp.470-471

Dmitry Orlov, The Five Stages of Collapse Survivor’s Toolkit, 2013




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