2016年12月2日金曜日

出現


見惚れてしまう
輝かしく 美しい女の子に  
たとえば 電車の中で
ごく 稀に出会う

その時には 見続ける
立って いる
人たちの 隙間から
変には 見られぬように

そんな 奇跡の
瞬間のひとつの 遅い
午後 電車の 揺れに耐えて
母親らしき人の手を 握り

山手線の 輝かしき子よ
立ち続け 乗り続け
発表会などの 帰りか
ピンクの リボンを

輝く 柔らかい 髪の毛に
付け 白い ドレスを着て
やがて どれほど美しい
女性になる ことか

と 凡庸な思いばかり 貧しい
反応として 心に 浮かんだのに
ほとほと 嫌気がさし しばらく
目を 窓外の 風景の流れへ

女の子のほうへ やがて戻すと
母親らしき人は いたが 
輝かしい 女の子の 姿は 
もう どこにもなく

ピンクのリボンが 飾りに付いた
どこかの ブランドの
純白の 包装袋だけ
母親らしき手には 握られていた




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