2020年5月28日木曜日

なんのあらわれもなかったように

 

嵐のほとりで
…という言い方はおかしいかもしれないが
ずっと
大きなガラス窓ごしに
嵐の一部始終を見続けていた

そのおかげで
嵐の過ぎ去りがた
九段下のあたり
あるいは共立女子大学のあたりに
太い虹が立ったのを
わたしは見た

虹が立って
どんどんと色を増し
やがてまた
色が薄れ
なんのあらわれもなかったように消えていったのを
わたしは見た




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