2018年3月10日土曜日

プルードンやブランキの遠い弟子として我は

  

ネット上で確定申告書類を作成すると
マイナンバーを記入せよ
と出る
記入しないでも作成を進めることはできるので
記入しないで申告作成を終了したものの
印刷する段になると
マイナンバーの通知カードのコピーを貼れ
公的な身分証明書のコピーも貼れ
というページが出てくる
けっきょく
マイナンバーを提示することになる

しかし
14枚も打ち出したうちのあちこちにあるマイナンバー記入欄に
けっきょく
マイナンバーは書き込まないままで申告書作成を終える
マイナンバー記入は義務だ(と勝手に決められた)そうだが
罰則はないので
義務だが罰則はないというところに発生するわずかな権利を
最大限に行使する
プルードンやブランキの遠い弟子として我は

まんまと国税庁長官になった男の話でも出そうかと思いながら
皇居のある区の皇居の目の前の税務署に確定申告を提出に行く
どこの税務署も混雑している時期だが
皇居の前の税務署は空いている
ここに並んでください
というプレートの上に立つものの
私の前には今提出中のひとりしかおらず
つまり列はできていない
提出窓口の係員もひとりしかいない

さて、提出。

添付すべき書類は
複数の源泉徴収書と
マイナンバー通知カードのコピーと
公的な身分証明証として健康保険被保険者証のコピー
のみ
健康保険領収書や年金領収書や生命保険領収書などは
貼りつけるか
または提出時に提示と書いているので
もちろん貼りつけない
「貼りつけてないのですか
と係員から聞かれるが
「提示だけでいいと書かれていますが、なにか?
とこちらから問い直す
ということで
OK
「最近は行政が何でも書類を無くしますからね
「自分で保管していないとね
もちろん言い添える
「そうですね、五年は保管しておかないと
と返ってくるが
なんだ、この返答は?
保管しておいてくださいと最初から素直にいいなさいね、公僕よ
それに
五年どころじゃダメだろう
年金記録の消滅の場合は大変だったじゃないか
全記録を一生持っていないと何が起こるかわからない国じゃないか
言おうと思ったが
さっぱりした気性の江戸っ子なので
そこまではサ
言わねェ

いくつもある所定箇所に
「マイナンバーを記入していただけますか?
やっぱり求められたが
「マイナンバー記入は義務であるけれども罰則はないんですよ
と教示して差し上げる
「はい、けっこうです
ということで
OK

おそらく
署員が
後でいちいち記入しなければならないのだろう
制度やシステムというものの皺寄せは
どこかの特定の個体の生身の人体に必ず来る      
しかし
爬虫類の脳を持ち続けている
未来永劫存在が悪でしかあり得ない人類の
不出来でねじ曲がった社会制度という弱肉強食界の中では
甘いことを夢見たり望んだりしてはいけない
悪の人類の集合生活場にあっては
すべてはむごたらしいまでに凄まじくハードボイルドである
チャンドラーやハメットもたくさん読んでおいて本当によかったと思う
フォーサイスやル・カレの再三の読書経験もまことに人生の宝となった
尊敬してやまないロンメルやタレーランやリシュリューなどの
詳細な評伝や研究書の類にも
どうやら終生助けられ続けていくようだ

皺寄せがひとつでも自分の身に寄せ来ることのないように
綿密に心がけ
他人の人体疲労と
他人の時間浪費となるように
精妙に誘導しなければならない
公務員は国民のサービスのためにのみあるのだから
頑張ってくれたまえ
政治の皺寄せで自殺したくなるような時には
立派に死んでくれたまえ
仕事は他にも民間にいろいろあるというのに
わざわざ公務員を選んだ諸君に
おお神よ
さまざまな皺寄せが押し寄せるように

それが嫌なら
行政の側から政治を正す努力を
少しは過激にやってみたまえ



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