2018年3月6日火曜日

如来は特徴をそなえたものであると見てはならない…



「見るからに個性的な装いで…
「もう、遠くから見てもオーラが凄くって…

街中で耳に届いてきた
おしゃべりの
ひと言、ふた言…

金剛般若経第二十六節

「スプーティーよ
「どう思うか
「如来は特徴をそなえたものであると見るべきであろうか*

「師よ
「そうではありません
わたくしが師の仰せられた言葉の意味を理解しているところによる
「如来は特徴をそなえたものであると見てはならないのです

弟子の理解を
師はひじょうに喜んで

「まことに、まことに、
「スプーティーよ、
「そのとおりだ、
「スプーティーよ、
「あなたの言うとおり、そのとおりだ
「如来は特徴をそなえたものであると見てはならないのだ

この時
師は次のような詩を詠じたともいう

かたちによってわたしを見
声によってわたしを求める者は
まちがった努力に耽っている
そういう者たちにはわたしは見えない

もっとも
師の時代か
経の書かれた時代に
よく知られた詩があって
この詩などは
そのヴァリエーションの
ひとつ
だったかもしれない
ラクンタカ・バッディヤ長老の詩にも
このようなものがある

かたちによってわたしを量る者
声によってわたしを求める者
これらの欲貪に魅了された者どもは
わたしを知ることがない

かたちや
声は
もちろん
実体を持たないものに属する
そうした層や
圏域にはいない“わたし”が
ここでは
語りかけてきている



*岩波文庫『般若心経・金剛般若経』(中村元・紀野一義訳注)によりながら、編成を変えたりしてある。




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