買い出しでもするように
ちょっといっぱい買い込むことになったからといって
わたしが買うような量など
たかが知れている
わたしに買われなかった清潔な肉片のパックや
たぶん時空のいちばん遠いところを見つめている目の
大小の魚たちのつやつやした死体や
青々させられ続けのあんなにたくさんの野菜や
いちいち差別化され値付けされたミルクや練りものや
どう使ったらいいのか
ちゃんと学んだこともないほどの種類の調味料やスパイス類が
レジに向かっていくのを決めたわたしの背後で
色とりどりのかしましい誘いを次々やめて
うってかわって口を閉ざし
黙り込んでいく
できることといえば
買うことか
買わないこと
そんな二択の切っ先にアイデンティティーを絞られて
紙幣・貨幣と物の移動だけに奉仕する動力へと
その場でのあり方を切り狭まれて
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