眠りの神のヒュプノスは
夜の神ニュクスの息子
冥界に住み
兄弟の死の神タナトスと違い
日のひかりが大きらい
仕事といえば
疲れた人の額に
自分の角から眠り薬を注ぐだけ
たいしたことはしていない
たいした活躍もしていない
ラテン語ではソムヌスと呼ばれ
somnolentはここから来る
こんなヒュプノスに
詩人オウィディウスは息子を与え
夢の神モルフェウスmorpheusと名づけた
形や型という意味の
モルファイという語から来た
変身の得意なモルフェウス
眠っている人の心に入り込み
人間の姿や声音を真似る
兄弟としてはイケロスやパンタソス
イケロスは動物を真似
パンタソスは命なきものを真似る
言葉の上でもモルフェウスは
いろいろなものに化け続け
メタモルフォスィスmetamorphosisや
ポリモーファスpolymorphousや
モーファラジーmorphologyに化けていく
鎮痛効果や催眠効果を持つ
あの有名なアヘン抽出物
モルヒネmorphineの名にも化けている
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