壺のつく名の多い
滝も遠くない川に沿って
集落から
また
他の集落へ
そんな初夏も
もう
遠くて
目がまわるような
でも
まだまだ若かった時代を
ひさしぶりに
こうして会ってねぇ
偶然ねぇ
銀座なんかでねぇ
(…言わないでおくのは
(あの頃の
(華子
(江東区のどこそこの
(遠縁の古家に今は引っ込んで
(お琴なんか
(教えて暮らしている
町田君
人生はなんというか残像だよねぇ
残像が僕となって
こうして歩きに出ているだけのことだよねぇ
(華子の残像…
(今の華子に会っても
(顔に読み取ろうとするのは
(残像ばかり
壺のつく名の多い
滝も遠くない川に沿って
集落から
また
他の集落へ
歩いたものだよねぇ
華子を
急に羽交い絞めにした町田君
岩の角で
頬を切った華子…
町田君
元気でいましたか、君?
銀座なんかでねぇ
まったくねぇ
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