あゝ
見なかった
夏茱萸
心残りが
ビル群を美しく
見直している
サンジョさんの
蚕は
今年はどうだろう
一筆なのに
書くのを
怠っている
蛹になるのは
あれは
細胞のアポトーシス
それにね
それにね
とサンジョさんは
かすれ声で
言い募っていた
飛翔筋が退化していて
成虫になっても
飛べやしない
口吻がないから
食べることもできない
脚の把握力も弱くて
木にも付けない
いちばん遠いビルの屋上が
揺れないが
芥子のような色
揺れたらいいのに…
心残りが
美しくしている
あれや
これや
いろいろな
もの
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