秋のおとずれを愛して
もう秋…
もう秋…
とくり返しながら
この季節を迎えたあの人は
もういない
いまのわたくしは
たったひとり
秋のおとずれを
確かめたり
味わおうとしたりする
ほかには
なすすべもない
今となっては
いにしえ
となってしまった
人よ
ときどき
秋の陽の移ろいを
目に吸いながら
秋のおとずれさえ
わたくしは
失ってしまったのか…
と
さびしむ
ひとりの人は
無限の宇宙の中でさえ
もうくり返されようもない
かけがえのない
ひとつの世界であったと…
ほかの
だれひとりとも
ふたたびは
ともに感得することのできない
失われた
あの秋のおとずれ
という
ものから
なんと遅い学びを
わたくしは
し続けているか…
0 件のコメント:
コメントを投稿