2017年9月11日月曜日

遅い学び


秋のおとずれを愛して
もう秋…
もう秋…
とくり返しながら
この季節を迎えたあの人は
もういない

いまのわたくしは
たったひとり
秋のおとずれを
確かめたり
味わおうとしたりする
ほかには
なすすべもない

今となっては
いにしえ
となってしまった
人よ

ときどき
秋の陽の移ろいを
目に吸いながら
秋のおとずれさえ
わたくしは
失ってしまったのか…
さびしむ

ひとりの人は
無限の宇宙の中でさえ
もうくり返されようもない
かけがえのない
ひとつの世界であったと…

ほかの
だれひとりとも
ふたたびは
ともに感得することのできない
失われた
あの秋のおとずれ
という
ものから
なんと遅い学びを
わたくしは
し続けているか…



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