2017年9月13日水曜日

『シルヴィ、から』 15

 複声レチタティーヴォの連続のみから成るカンタータ叙事詩
 [1982年作]   

 (第十声)  


 しかし、おまえはなぜ行くのだ?
どうして旅など続けるのだ?

なんのための旅、なにを求めて、どこへの旅だ?

道が一本しかないと言ったな。
確かに一筋開けているばかりだが、一筋の道があるということは、おまえ、ふたつの道はあるということだ。
ひとつはあいかわらず同じ方向へ進むものとしての道、もう一つは、これまで歩んできたところへもう一度戻って行くものとしての道。
戻るということは、くり返すということではない。
それは全く未知のもうひとつの道だ。

さあ、おまえはどちらを行くつもりだ?

どちらを行くこともできる。
どちらかをやめることもできる。

そして、ふたつを行くこともできなければ、ふたつを行かないこともできない。




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