2018年8月17日金曜日

その眠りはなにかの色を



その眠りはなにかの色をしていたようだったが
どこかの時点で壊されてしまった花の蕾のように
むごたらしくも興味を惹いて尽きない様子で
遠い灯台のあかりが点いたかと思う頃あいの夕べ
せつないまでの懐かしさでいっぱいの街角を
手渡されたばかりの出来たての綿飴ほどの
重いようなやっぱり軽いような押し寄せかたで
目の奥から頭の芯の奥のどこかへ移るようにして
染めていくというか染みていくというか
ちょうど銘酒の微妙な酔いのはじまりさながら
ひったりと音もない浸水のひろがり進んで行く
これもまた至上の経験として咲いていくところ




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