ずっと耳に入り続けていると
自動車の音も
自然の音のひとつに感じてくる
人工物の極みのように都会は言われがちだが
これを造り上げている人体は
もちろん自然の最たるものだし
鉄であれコンクリートであれ合成樹脂であれ
材料となるものはどれも自然物の組成変えでしかない
人工や人造というものは
いったいどこに棲まうのか
どこに憑依しているのか
そう考えてみると
発想や思いや精神にか
と思い当たってくる
けれども
これら見えないもの
掴みようもない不確かなものは
物質主義を極めようとしつつ
近代や現代が最も嫌い
否定しようとしてきたものではないか
物質主義の果てに
精神に憑依されることになったか
近代よ、現代よ
…とつぶやきともない
つぶやき以前の霧のような思いを
意識の指に燻らせながら
物であることをすでに脱しているかのような
自動車の絶えぬ音を聞き続けている
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