2021年2月28日日曜日

開いてみようとさえ思わない

 

 

しずけさや

清浄さや

 

底知れない闇の奥での

ようやく

なにか大事なものと出会えそうな感じや

 

あるいは

薄い靄が流れていく山路で

人生で出会ったこともないような

とほうもなく淡いなにかを

ふいに掴んだかのような感じや

 

そんなものばかり

書かれても

最後にはやっぱり

飽きて来ちゃうんだよね

という

ぶあつい詩集も

あったな

 

ぜんぶ読んだけれど

もう

すっかり忘れてしまった

 

すっかり忘れてしまったけれど

もう一度

読み直そうとは

思わないな

 

開いてみようとさえ

思わない





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