2021年2月9日火曜日

志賀の唐崎うちとけて


 

大津のあたり 

旅したときも 

歌まくら

志賀の唐崎

くっきりと 

心にきざむ

こともなく

若さにまかせ 

たゞ歩き

目につく

些細な 

あれこれに

興じて 

つかれ 

天智帝の

  古京と知るは

幾とせものち

 


その志賀に

  凍っていた水

解け切って

  みなもに波を

さざ波を

  吹きよせる風

春風が

  吹いたぞ

吹いて

 きたぞよと

大蔵卿の

  匡房殿は

 



 

 

堀河院御時、百首歌たてまつり侍りけるに、

春立つこゝろをよめる

                大江匡房

こほりゐし志賀の唐崎うちとけてさゞ波よする春風ぞふく

          『詞花和歌集』巻第一 春 冒頭歌






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