起きていて
歩いても
止まっても
座っても
寝ていて
ふと目覚めても
寝返りを打っても
目を開けて
闇や薄闇を見つめても
思い出されることの
なんと
多いことか
幼児の頃からの
さまざまな場所での
さまざまな場面が
なんと正確に
いまの自分をも包んでいるように
浮かんでくることか
これら
どれもが過去であるといい
どれもが記憶に過ぎないということの
なんという
あやまち!
かといって
それらを今と呼んで済ましてもならず
永遠などという妄語を
怠惰に貼りつけてもならず
生きても
生きても
生きても
どれほどわからないままで
進んでいくかのような
停止を
なおも続けていくのか
停止のような
変質と生成の実相を
どれほどわからないままで
わたし
などという
かりそめの囲いを
洗ったり
磨いたり
色を塗り直したり
時には
すっかり新品に替えたり
替えたつもりになったり
し続けていくのか
空海
『秘蔵宝鑰』に曰く
三界の狂人は狂せることを知らず
四生の盲者は盲なることを識らず
生まれ生まれ生まれて
生の始めに暗く
死に死に死に死んで
死の終りに冥し
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