2022年12月25日日曜日

どれほどわからないままで


  

起きていて

歩いても

止まっても

座っても

 

寝ていて

ふと目覚めても

寝返りを打っても

目を開けて

闇や薄闇を見つめても

 

思い出されることの

なんと

多いことか

 

幼児の頃からの

さまざまな場所での

さまざまな場面が

なんと正確に

いまの自分をも包んでいるように

浮かんでくることか

 

これら

どれもが過去であるといい

どれもが記憶に過ぎないということの

なんという

あやまち!

 

かといって

それらを今と呼んで済ましてもならず

永遠などという妄語を

怠惰に貼りつけてもならず

 

生きても

生きても

生きても

どれほどわからないままで

進んでいくかのような

停止を

なおも続けていくのか

 

停止のような

変質と生成の実相を

どれほどわからないままで

わたし

などという

かりそめの囲いを

洗ったり

磨いたり

色を塗り直したり

時には

すっかり新品に替えたり

替えたつもりになったり

し続けていくのか

 

空海

『秘蔵宝鑰』に曰く

 

三界の狂人は狂せることを知らず

四生の盲者は盲なることを識らず

生まれ生まれ生まれて

生の始めに暗く

死に死に死に死んで

死の終りに冥し

 





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