2022年12月14日水曜日

石のはざまの闇を

  

昨夜も

暗い林や森のなかを歩き

昼前の驟雨に濡れたままの

滑りやすい石から

べつの石へ

また

べつの石へと移りながら

小川を渡り

石のはざまの闇の

あまりに暗くて

あまりに黒くて

ひかるようなほどなのを

見つめた

 

その時間

そこで

石のはざまのこの闇を

見た者は

わたしのほかには

いない

 

つまり

わたしは世界を

確実につかまえていたのだ!

石のはざまの闇を

わたしが見

見られたものとして

意識されたものとして

壮大な情報庫に

わたしが収容した!

 

なんびとも

世界なるものと

孤絶しているかのような彼自身や

彼女自身との

かかわりぐあいを

根底から

考え直さねばならない!

 

わたし以外のだれも

見なかったが

石のはざまの闇を

わたしだけは見たのだ

ということが

世界の真のありようを掴み直す

唯一の手ざわりに

なる




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