小学生の頃
友だちに
矢部くん
という人がいた
呼ぶ時
もちろん
「ヤベ!」
とか
「ヤベくん!」
とか
呼んだ
男の先生も
「ヤベ!」
「おい、ヤベ!」
とか
呼んだ
さて
ところで
しかるに
現代日本語の俗語に
「ヤベー」
なる語がある
いそいで言うと
「ヤベ」
などとなる
吾輩が小学生の頃
この
「ヤベー」
「ヤベ」
なる語は
吾輩のまわりでは
使われていなかった
そんな語の
存在さえ
知らなかったのである
だから
「ヤベー」時には
「たいへんだ!」とか
「わぁあ!」とか
「ぎょへ~」とか
まあ
宮沢賢治に負けないぐらいの
オノマトペ駆使をして
いちいち
一瞬のうちに脳を高速度回転させて
その場に合った
ちょこっとでも面白いことばを
言おうとしたものである
矢部くんとは
「ヤベー」や
「ヤベ」が
われら
少年いたずら団の
語彙となっていない時に
友だちづきあい
していた
矢部くんにとっては
恩寵というべき
時期であっただろう
まことに
まことに
天のはからいとも
天の配剤とも
いうべきであろう
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